新サイバー犯罪条約
投稿者
氷川霧霞
投稿日
2025/04/30
難易度
影響度
進捗
課題・背景

新サイバー犯罪条約は、サイバー犯罪(インターネットを使った犯罪)を取り締まるための、 世界共通の新しいルール を作ろうとする動きです。これは国連で話し合われていて、もしこの条約が成立し、日本が参加することになると、その内容は 日本の法律よりも強いルール になるため、注意が必要です。
条約が作られようとしている背景
この新しい条約を作ろうと最初に強く言い出したのは、 ロシアや中国 です。彼らは、すでに存在している ブダペスト条約 というサイバー犯罪のルールに不満を持っていました。

「ブダペスト条約」への不満:
- ブダペスト条約は、ヨーロッパやアメリカが中心となって作ったもので、ロシアや中国から見ると「一部の地域だけのルールじゃないか」と感じられていました。
- また、インターネットの技術やサイバー犯罪の手口が進化しているのに、ブダペスト条約は「時代遅れだ」とも主張されました。
- 特に、ロシアや中国は、 外国の捜査機関が自国のコンピューターシステムにアクセスすること(国境を越えたデータアクセス) を、「国の主権(支配する権利)を侵害するものだ」として強く反対していました。
- 彼らの本当の目的は、 国の政府がインターネット上の情報やコンテンツを管理・規制しやすくすること にあると言われています。
国連での議論開始:
- 日本や他の国々は、新しい条約を作る必要はないと反対しましたが、2019年の国連での会議では、ロシアや中国を含む賛成派が多数となり、新しい条約の議論を始めることが決まってしまいました。
新サイバー犯罪条約の課題(日本への影響)
この新しい条約には、ロシアや中国といった権威主義的な国や、宗教的道徳観の影響が強い国の意向が反映されており、表現の自由にとって特に心配な点がたくさんあります。

1. 「表現の自由」への影響が大きい:
- この条約案では、 架空のキャラクタであっても子ども(例えばマンガやアニメ、ゲームに出てくるキャラクター)の性的に見える描写 を、取り締まりの対象にしています。もしそうなれば、 日本のこれまでのマンガ、アニメ、ゲームを買うことも、見ることも取締の対象 となるおそれがあり、日本の第二の輸出産業が大きな打撃を受けることになります。
- 「子どもに対する性的虐待の素材」の定義は非常に広く、 文章や音声の記録 も含まれる可能性があります。また、それを見る行為や、それによって利益を得る行為までもが犯罪になる可能性も指摘されています。
- さらに、「拷問」や「残虐で非人道的な扱い」、「罰の犠牲者」を描写したコンテンツも対象になりうる案があり、これもゲームや映画など、 暴力的な表現全般に影響を与える 可能性があります。
- 中国は、条約案の中で マンガやアニメを名指しして規制しよう と強く主張しています。
2. 「留保規定」が失われる危機:
- 現在のブダペスト条約では、日本は「実在しない子どもの表現については、この条約のルールを適用しない」という 「留保規定」を使って、マンガやアニメなどを守ってきました 。
- しかし、新しい条約の案では、この 「留保規定」自体をなくそうという動き があり、もしそれがなくなると、日本は実在しない子どもの表現を規制する義務を負ってしまうことになります。エジプト、ロシア、イラン、パキスタンなど多くの国がこの留保規定の削除を求めていますが、日本はオーストラリア、アメリカなどと共にこれを守ろうと懸命に交渉しています。
- 途中、留保規定を残すかどうかの票が非常に拮抗しており、 一歩間違えれば削除されてしまう状態 が続きました。
3. 「通信の秘密」と「プライバシー」への影響:
- 条約案には、捜査機関が個人のインターネット通信を調べやすくするような内容も含まれているため、 「通信の秘密」が守られなくなる 可能性があります。
- 例えば、 インターネット上のコンテンツを強制的に見えなくする「ブロッキング」 のような措置が広がる懸念もあります。
4. 国際的な圧力:
- 日本は、世界的に見ても「表現の自由」が比較的強く守られている国ですが、世界的には規制を強化する流れが強まっています。そのため、日本は国際社会から「国際的な基準に合わせるべきだ」という強い圧力を受ける可能性があります。
- 国連の条約は、日本の国内法よりも効力が強い ため、もし日本がこの条約に参加すれば、たとえ国内にその内容を禁止する法律がなくても、条約のルールに従う必要が出てきます。
山田太郎議員の取り組み・活躍・成果
山田太郎議員は、この条約が日本の文化に与える影響の大きさを早くから認識し、次のような活動を続けてきました。
交渉自体は、外務省の交渉官が行いますが、山田太郎議員は交渉官に注意すべきポイントを伝えたり、交渉官が動きやすいように国会質疑で総理や外務大臣の発言を巧みに引き出したりして環境を整えました。

1. 政府への働きかけと交渉 :
- 日本は現ブダペスト条約の継続を支持していましたが、国連で議論が始まってしまった以上、日本の意見を反映させるために交渉に積極的に参加しました。
- 外務省の担当者は、この条約を作るための委員会の 副議長 を務めており、山田太郎議員は彼らに 強く働きかけ、日本の主張を条約案に反映させるよう粘り強く交渉 してきました。交渉の当初は、担当官僚は新サイバー犯罪条約中の表現規制条項に対する特別な意見は持っておらず、山田太郎議員の働きかけがなければそのまま留保規定がなくなっていた可能性がありました。
- 山田太郎議員は、国会で外務大臣や総理大臣に直接質問 し、「表現の自由」を守ること、日本のマンガ・アニメ・ゲームが不当に制限されてはならないことを明確に表明させました。これは異例のことで、政府がこの問題を重く見ている証拠です。また外務大臣、総理大臣の明確な答弁を受けて、外務省の担当官僚もその答弁に沿って動くようになります。
- 表現の自由だけでなく、「通信の秘密」や「プライバシー」が侵害されないよう、条約の内容を慎重に確認し、政府に働きかけを行いました。
2. 国際的な連携 :
アメリカの電子フロンティア財団(EFF)など、同じ懸念を持つ海外の団体と連携し、彼らの意見も日本政府を通じて国連に届けています。EFFは当初アメリカ政府に働きかけていましたが、アメリが政府が動かないため、なんと山田太郎議員を経由して日本政府に働きかけることになりました。
また山田太郎議員は条約締結が迫った頃には国連の条約局長の元を訪れ直接会談し、日本の立場を説明しました。
3. 情報公開と啓発 :
国会議員が条約の細かな条文まで確認し、その問題点をメディアを通じて国民に説明するという活動を精力的に行い、多くの人にこの問題を知ってもらいました。
重要な成果と今後の課題
山田議員の活動によって、いくつか大きな成果がありました。
- 「留保規定」の維持 : 最も重要な成果の一つは、 「実在しない子どもの表現については、各国の判断で取り締まりの対象から外せる」という「留保規定」を条約案に残せた ことです。多くの国(エジプト、ロシア、中国など)がこの規定を削除しようとしましたが、日本やアメリカなどの強い主張により、ぎりぎりのところで守られました。この規定がなければ、日本のマンガやアニメが国際的に規制対象となる可能性が非常に高かったため、これは 日本の「表現の自由」にとって大きな勝利 と言えます。
- 日本政府の公式見解の明確化 : 総理や外務大臣が、日本のマンガ・アニメ・ゲームの表現活動が不当に制限されることがあってはならないと、 国会で明確に表明 したことも大きな成果です。これにより、今後の交渉や国内での法整備において、この方針が強く影響することになります。
しかし、山田太郎議員はまだ安心できないと考えています。
- 国内法整備の重要性 : たとえ条約に「留保規定」が残ったとしても、 日本が条約を批准した後に国内の法律をどう整備するか が非常に重要です。もし国内で「留保規定」を使わずに規制を強化する法律ができてしまえば、結局マンガやアニメなどが規制されてしまう可能性があるからです。これは、以前TPP条約で著作権の問題(二次創作が違法になる可能性)があった時と同じような状況だと山田太郎議員は考えています。
- 実際国内では、国民民主党からエロ広告規制の提案が出されたり、パパママ議連で表現規制を盛り込もうという動きが2025年春頃から出ています。自民党が少数与党になっていることもあって、危険な状況になりつつあります。
山田太郎議員は、この条約が日本の文化や表現の自由を脅かさないよう、これからも政府や国会での働きかけを続けていくと表明しています。
新サイバー犯罪条約の流れと山田太郎議員の取り組み
- 新サイバー犯罪条約の策定には、当初、日本や欧米各国も反対、しかし国連で検討する事が総会で可決(そもそも、新サイバー条約は、日本は入る必要のないものでした)
- 最初に提案された新サイバー犯罪条約案には留保規定なし(ここが大問題)
- 2022年2月 第一回委員会の開催にあたり山田は外務省に強く申入れ(外務省にも問題点を指摘、ここから山田・外務省は二人三脚)
- 2022年11月 初めて留保規定案が入る
- 2023年1月 諸外国から留保規定削除要請(日本以外留保規定を残す事を強調する国なく、厳しい状況)更に、中国から日本を狙い撃ちにするマンガ・アニメの犯罪化強化が主張される
- 2023年4月 決算委員会で岸田総理(当時)に強く要請(折れそうな外務省を政府全体でバックアップ)
- 2023年6月 議長案提示、留保規定が維持
FAQ(よくある質問)
Q. 新サイバー犯罪条約はもう成立したのでしょうか?
はい、 2024年に成立しました。現在は、各国が批准するかどうかを国内で議論する段階です。
なお、問題となっていた「実在の児童に限定する」留保の権利は残すことが出来ました。
Q. 漫画・アニメ・ゲームなどのコンテンツに影響はありますか?
新サイバー犯罪条約には、非実在の児童を描写したコンテンツ(漫画、アニメ、ゲームなど)の作成、配布、保持、さらには視聴までもが犯罪化される可能性のある条文が含まれています。 ただし、各国の判断で「実在の児童に限定する」ことができるようになっています。
もし日本が「実在に限定する」という留保の規定を使わずに国内法を整備した場合、日本の漫画、アニメ、ゲーム産業は大きな影響を受けることになります。
これから出てくる作品から、未成年のキャラクターの登場は大きく減ることになると思います。
また、これまで みなさんが購入された漫画やゲームについても、新サイバー犯罪条約の条文に引っかかるようなものは破棄しなければ犯罪者 ということになりかねません。
Q. BLも影響を受けるのでしょうか?
当然、BLも影響を受けることになります。描かれている人物(イラスト、文章)が未成年に見える場合はその描写によって対象となります。
Q. ウチのキャラクターは250歳の設定なので関係ないです。
残念ながら、未成年に「見える」「未成年を思わせる」表現で規制がかけられてしまいます。
Q. 日本は現在のサイバー犯罪条約に批准しているので、新サイバー犯罪条約に批准はしないと聞きました
まず、 外務省の見解 では、サイバー犯罪条約に批准していても、新サイバー犯罪条約に批准可能、とのことです。
新サイバー犯罪条約では、現在のサイバー犯罪条約にはない新たな類型のサイバー犯罪に国家間で協力して対応するための条項も入っており、日本も批准することが見込まれています。少なくとも「批准しない」などの決定はされていません。
秋以降の国会で議論されるものと思います。
Q: 新サイバー犯罪条約において特に懸念される条文は何ですか?
最も懸念される条文は、特に第13条(以前は18条)の児童の性的虐待または性的搾取製造物に関連する犯罪に関する規定です。この条文は、以下の点を問題視されていましたが、最終的に、各国の判断で留保可能な条文となりました。
- 定義の拡大: 画像、動画、ライブストリーミングだけでなく、文章や音声録音も「製造物」に含まれる可能性があり、これにより小説などの書面による表現も規制対象となりうる。
- 処罰範囲の拡大: 資金提供や「助長」といった曖昧な行為、ライブ配信の「視聴」なども処罰の対象に含まれることで、萎縮効果が懸念される。
- 非実在の児童描写 : 特に中国は、 漫画やアニメにおける非実在の児童の性的表現を明確に規制対象とする ことを主張しており、日本のコンテンツ産業に直接的な影響を与える可能性がありました。
- 留保規定の廃止 : 各国が条約の一部を適用しない権利である留保規定が、草案では存続していますが、一部の国はこれを削除するよう主張しており、もし削除されれば日本は非実在児童ポルノの規制義務を負うことになるところでした。
2025年6月現在の最大の懸念点は、日本政府が留保規定を採用して国内法を整備するかどうかです。現在、国民民主党の議員などを中心に 留保規定を採用せず、創作物規制も付けて条約に参加しようという動き が見られます。
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みんなの評価
ログインして評価する氷川霧霞
2025/07/01 10:13
関心度
最大の関心事です!
評価
期待以上!
楓人(ふうと)
2025/07/01 14:19
関心度
最大の関心事です!
評価
期待以上!
モッチン中村
2025/07/01 19:41
関心度
関心あり。力入れて!
評価
期待以上!
きらきら
2025/07/01 23:12
関心度
最大の関心事です!
評価
期待通り!
タイミングが選挙とかちあってしまったのは、1回まとまりかけたときに「やっぱ留保規定などをなしにしよう」って反対意見でちゃぶ台返そうとする国が出てきて、議論が紛糾したからですし
AY
2025/07/02 01:27
関心度
関心あり。力入れて!
評価
期待通り!
大変助かっています
コンテンツの性的表現は賛同も得やすく規制しやすく
一度規制が出来てしまえばほかの分野にも展開しやすいので
ここで規制反対を主張しないと際限なく規制されてしまいます
さいたま都市あき
2025/07/02 03:53
関心度
最大の関心事です!
評価
頑張れ!
マリンバ
2025/07/02 07:30
関心度
最大の関心事です!
評価
期待通り!
何としても再選して、留保規定付きを勝ち取りましょう。
アロム
2025/07/03 15:12
関心度
最大の関心事です!
評価
頑張れ!
国会議員の表現の自由派の人数の圧倒的少なさ、昨今の些細なことで炎上する現在の国内世論など、非常に状況は厳しいですが、留保規定だけは断固たる姿勢で維持してください。
本当にお願いします。この問題、難易度4ではなく5、いや、5万では? 国会論戦は厳しいものになると思われますので。味方を多く作ってほしいです。